18 7月 小津航
橋に扇面流し図
作品解説
古今東西の美術様式を縦横無尽に採り入れ、自身の作品へと昇華する、おずわたる。様式に溺れることなく、自分の興味のある対象をこっそり忍ばせ、大胆な色づかいと、けっして濁らない色調をつくっていく作風は、明治時代の「和こん洋才」を思わせるものがあります。本作には、足利たかうじの扇面流しの故事を参照し、川に流れる、扇子が描かれています。従来の扇は、開くにつれて絵が表れてくる「時間」の表現を含みますが、今回は、そうした視線の動きを一枚の平面作品上に展開する構図の工夫がなされています。
古今東西の美術様式を縦横無尽に採り入れ、自身の作品へと昇華する小津航。様式に溺れることなく、自分の興味のある対象をこっそり忍ばせ、大胆な色づかいとけっして濁らない色調をつくっていく作風は、明治時代の和魂洋才を思わせるものがあります。本作には、足利尊氏の扇面流しの故事を参照し、川に流れる扇子が描かれています。従来の扇は、開くにつれて絵が表れてくる時間の表現を含みますが、今回はそうした視線の動きを一枚の平面作品上に展開する構図の工夫がなされています。
小津航
Wataru Ozu
1991 年生まれ。愛知県出身。2017 年 東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻卒業。現在は茨城県にあるスタジオ航大にアトリエを置き、絵画とイメージや東洋的絵画空間に関心を持ち制作をしている。聖書に登場する言葉や古今東西の名画に関するエピソードなどを絵画のモチーフにしたり、絵画に登場する素材を使いながら、未知の理想を拡張することを考えている。主な展示に、個展「ニガヨモギの星」(un petit GARAGE、2019)、「Anthropocene」(銀座蔦屋書店、2020)がある。